海外投資家との面談で初めて通訳を務めたときのことを、今でもよく覚えています。
当時の私は、まずは一つひとつの言葉を正確に訳すことに精一杯でした。しかし面談を終えて振り返ってみると、投資家が本当に知りたかったことと、経営陣が伝えようとしていたことの間には、正しく訳すだけでは埋められない距離があることに気づきました。
その頃までに、私は証券会社のアナリストレポートや、決算説明会の書き起こしを数多く英訳していました。
なかでも決算説明会の翻訳は、私にとって大きな学びの場でした。音声を聞きながら、アナリストはなぜこの質問をしているのか。経営陣は何を伝えようとしているのか。数字の背景には何があるのか。そうしたことを考えながら、一つひとつの文章と向き合っていました。
その経験が、その後の投資家面談での通訳にもつながっていきました。
これまで、通訳を務めた投資家面談は300件を超えます。さまざまな企業と海外投資家の対話に立ち会うなかで感じてきたのは、同じ言葉を使っていても、立場が違えば、見ているものや知りたいことも違うということです。
だからこそ、英語を正しく訳すことだけではなく、その質問がなぜ出てきたのかまで理解することが大切だと考えるようになりました。
こうした経験を重ねるなかで、日本企業と海外投資家の間で、もう一歩踏み込んだお手伝いができないかと考え、2023年に株式会社ジャパン・インベスター・インターフェースを設立しました。
JIIが目指しているのは、海外投資家の考えを企業に押しつけることではありません。
企業には、それぞれの事業があり、歴史があり、経営に対する考えがあります。それを海外の投資家にもきちんと理解してもらえるよう、伝え方を一緒に考えていくことが私たちの役割だと考えています。
英訳や通訳はもちろん、英文開示をつくる際に「何を伝えるべきか」「どこまで説明すれば伝わるのか」「どの順番なら理解しやすいのか」といったところから、IRご担当者の皆さまと一緒に考えていきたいと思っています。
言葉を訳すだけではなく、その先にある理解までつなぐ。
JIIが、日本企業と海外投資家の間の身近な「インターフェース」であり続けられればと思っています。
株式会社ジャパン・インベスター・インターフェース
代表取締役 屋山 テディ